坂本龍一さんの回顧展
先日、東京都現代美術館(MOT)で現在開催されている坂本龍一さんの回顧展に行ってきました。
小学生の頃、YMOが全盛期で「Rydeen」が小学校の掃除の時間に流れていたし、「東風」を覚えて休み時間、友達とオルガンで弾いたりしていました。
「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」はもちろん、最初は映画館で、そのあとはレンタルビデオ(!)やテレビのロードショーで何度も観たし、楽譜を買って、ピアノで挿入曲を弾いていたこともありました。当時はレコードもたくさん持っていて「warhead」や「音楽図鑑」など、今でも目をつぶるとジャケットの写真を思い出せます。
割と最近(と言っても5年くらい前)のことだと、大好きな鎮座ドープネス(ラッパー)が坂本さんの「Energy Flow」を使って作った「エナジー風呂」。鎮座さんと坂本さんの組み合わせだけでも興奮ですが、MVに出演した坂本さんが真面目な顔でトイピアノ弾いたり、五右衛門風呂に浸かったりしてるのがとてもツボで「あー、こういうところが好きなんだよ〜」と確認したという事がありました。
小学生の時から、彼が亡くなるまで、ずっと気になる存在で活動を追ってきたことを思い出し、このところ彼のバイオグラフィーをじっくり見てみたいと、本を買って読んでいたところだったので回顧展をすごく楽しみにしていました。
「音を視る 時を聴く」というテーマの作品展。
特に印象に残ったのは入って最初に展示されている作品「Time time」。
横長の巨大なスクリーンに様々なモチーフが音と共に映し出される作品です。
「時」と「音」は、彼の長年のテーマだったそうです。
晩年の作品は闘病し、死を身近に感じながら作ったのだと思います。
波飛沫の映像と共に朗読される「邯鄲」という能の演目の一部。
「邯鄲」の物語は「人生の儚さ」がテーマなのですが、それが繰り返し打ち寄せる波と混ざり合い、永遠に続く自然の雄大さと、それに比べ儚い人の一生が対比を持って迫ってきました。同時に時間の中で儚さをもつ人間も、自然の一部で、有限でありながら、無限の存在であるという様な事も感じる事ができました。
他にも「霧の彫刻」という中庭に霧を発生させ、そこにいる人たちを含めたアート作品もありました。中庭にいる時は水滴が顔についたり、隣の人が見えなくなったり、それは面白い体験なのですが、上の階からその光景を見ると水や、温度感みたいなのは全く感じらない、まるで切り取った絵の様な幻想的な印象になるのが面白かった。
どれも素敵な作品でした。全体としてはとても洗練されていて都会的、ユニバーサルでありながら非常に「和」な印象をもちました。
平日に行ったのですが、大勢の人が来場していて、入るのに1時間近く並びました。若い人から、お年を召した方、外国の方も大勢いらっしゃり、坂本さんの作品が多くの方に影響を与えてきた事が感じられました。
少しずつバイオグラフィーをまとめていきたいなと思いました。
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